昨日の新聞に<父の時計 この腕に>という記事がでていました。いろいろなことを考えさせられました。


地元の森林組合のメンバーが自宅から500メートル離れたがれきの下で男性の遺体を発見した。父かもしれないと安置場に足を運んだ。7年前に贈った腕時計が決め手だった。

父の定年が近づいた2004年、あこがれの俳優ポールニューマン愛用の腕時計を贈ろうと思い立った。買える範囲で最高の物と12年間努めた前の会社の退職金をつぎ込んだ。盛岡市の百貨店から48万円のロレックスクスプローラーを取り寄せた。父の最後の出勤日に手渡すと<おっ>とつぶやいた。手を差し出し握手をした。物心ついてから父に触れたのは初めてだった。
安置所で泥だらけの腕時計を受け取り、腕につみた。遠かった父とつながった気がした。水で泥を洗い流し、再びはめた。